自転車通勤の道すがら思ったことから、統計から見る自転車海外事情、まったく自転車に関係ない話題やポエムまでいろいろ書いてみるのだ。
 第二次大戦中にドイツ占領軍によって自転車を没収されたオランダ人たちは、ドイツ軍に以下のようなレポートを書かせるくらい強い反発を示したそうです(Wray, 2008, p.31):

"The Dutchman, who is practically born on a bicycle, views the seizing of his bicycle to be nearly the worst thing that could ever happen to him ... no other German enactment has called up such bitterness in all ranks of society as this one"

(オランダ人、実質的に自転車に乗って生まれた奴ら、は自転車の没収を起こりうることのなかでほとんど最悪のものと考えている。ドイツ軍のほかのどの法令もそのような苦痛を社会の全階層に引き起こしはしなかった。)
 このようにオランダ人が自転車を熱烈に支持する理由として、シカゴのDePaul Universityで政治学の教授をしているWrayはオランダでの取材を元に、3つ挙げています。

 ひとつは、オランダが平坦な土地であり、天候が比較的穏やかであること。これについては、しかし、特にオランダに限ったことではないし、オランダがベストでもないとしています。

 ふたつ目に、カルヴァン主義的プロテスタントの文化。キリスト教に詳しくない僕はよく知りませんでしたが、これは要するに、"life was not meant to be easy"という考え方だそうです。だから、風が吹こうが雨が降ろうが、それは仕方ない、黙ってペダルを漕ぐ、ということになるようです。

 また、カルヴァン主義が誇示することを避け、謙虚でつつましくあることを良しとすることも、つつましい乗り物である自転車を好むことにつながるそうです。

 疋田智氏も、ドロンジョーヌ恩田女史との共著『自転車をめぐる冒険』(p.34)の中で、自転車がプロテスタント的であると述べています。バブルから抜け切れていない、あるいは好景気に浮き足立ってしまう(ヒルズ族みたいな)人々がいるなかで、自転車は「身の丈」に合った価値観を提示しているというのです。

 みっつ目は、"polder model"(干拓地モデル)というオランダ特有の文化が関係しているそうです。この概念はオランダの歴史に深く関わっているらしく、合意に基づく意思決定を重視する伝統のことです。なぜそのような伝統が生まれたか。それは、オランダが干拓地であり、"the waters are coming"、つまり、農民から貴族まで全住人が協力して堤防を維持する必要があったためです。そして、自転車は、自転車に乗る人もそうでない人も益するという点で、この"polder model"と相性がいいと言うのです。

 とはいえ、以上の理由から自然と自転車利用が増えたわけでもないそうです。戦後、オランダでも爆発的に自動車が普及しましたが、それと同時に自動車のもたらす弊害も明らかとなってきました。そして、70年代半ばからthe Dutch Cyclists' Unionを中心としたグループが政治を動かし、自転車重視の政策が採られるようになったというのです。

 日本は自動車が普及するとともに、自転車を車道から追いやってしまい、最近になってまた自転車は車道を走らないと罰則!と言っているわけですから、70年代が分かれ目となったんですね。

<References>
・Wray, J. Harry (2008) "Pedal Power". Paradigm Publishers.



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 このようにオランダ人が自転車を熱烈に支持する理由として、シカゴのDePaul Universityで政治学の教授をしているWrayはオランダでの取材を元に、3つ挙げています。

 ひとつは、オランダが平坦な土地であり、天候が比較的穏やかであること。これについては、しかし、特にオランダに限ったことではないし、オランダがベストでもないとしています。

 ふたつ目に、カルヴァン主義的プロテスタントの文化。キリスト教に詳しくない僕はよく知りませんでしたが、これは要するに、"life was not meant to be easy"という考え方だそうです。だから、風が吹こうが雨が降ろうが、それは仕方ない、黙ってペダルを漕ぐ、ということになるようです。

 また、カルヴァン主義が誇示することを避け、謙虚でつつましくあることを良しとすることも、つつましい乗り物である自転車を好むことにつながるそうです。

 疋田智氏も、ドロンジョーヌ恩田女史との共著『自転車をめぐる冒険』(p.34)の中で、自転車がプロテスタント的であると述べています。バブルから抜け切れていない、あるいは好景気に浮き足立ってしまう(ヒルズ族みたいな)人々がいるなかで、自転車は「身の丈」に合った価値観を提示しているというのです。

 みっつ目は、"polder model"(干拓地モデル)というオランダ特有の文化が関係しているそうです。この概念はオランダの歴史に深く関わっているらしく、合意に基づく意思決定を重視する伝統のことです。なぜそのような伝統が生まれたか。それは、オランダが干拓地であり、"the waters are coming"、つまり、農民から貴族まで全住人が協力して堤防を維持する必要があったためです。そして、自転車は、自転車に乗る人もそうでない人も益するという点で、この"polder model"と相性がいいと言うのです。

 とはいえ、以上の理由から自然と自転車利用が増えたわけでもないそうです。戦後、オランダでも爆発的に自動車が普及しましたが、それと同時に自動車のもたらす弊害も明らかとなってきました。そして、70年代半ばからthe Dutch Cyclists' Unionを中心としたグループが政治を動かし、自転車重視の政策が採られるようになったというのです。

 日本は自動車が普及するとともに、自転車を車道から追いやってしまい、最近になってまた自転車は車道を走らないと罰則!と言っているわけですから、70年代が分かれ目となったんですね。

<References>
・Wray, J. Harry (2008) "Pedal Power". Paradigm Publishers.


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【2011/10/26 23:59】 | 自転車海外事情
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